「百年を経た箕(み)と山茶花」

2023-02-12

花の後ろにある扇状のものは、箕(み)と呼ばれる農具です。
主に穀物を殻やゴミから選別する為の農具でが、運搬に使われることもあっていわば万能の道具でした。
箕の歴史は古く、日本書記にもその記述があるそうですが、この箕の素材はクルミの木の皮を剥いで、それを折り曲げ竹で補強してありますらから頑丈でかつ軽い作りになっています。
この箕は、百年ほど前、奥会津で作られたモノですが、箕は万能の農具としてだけでなく、儀礼的な用具として、日本各地で使われていました。 山梨、長野、岐阜などの山間部では、子どもの一歳の誕生祝いには、幼児の背中に持ちを背負わせて、この箕の上にと立たせそれを引いて、成長の無事を祈る風習があったそうです。
100年の歳を経たクルミの皮の黒い肌合いに、山茶花の赤が目をひきます。
ところで山茶花は、昔は、「さんざか」もしくは「さんさか」と発音されたそうです。しかし「さんざか」では発音しにくい。そこで 「さざんか」に変わったとか。
大待宵草「おおまつよいぐさ」が「宵待ち草」と呼びならわされた事と似ています。

Posted by 井村一洲