私たちの思い
かつて私たちの身の回りには、日本特有の美しいモノや美しい言葉や振る舞いなどがありました。しかし、いつの間にか生活の場から消えてゆこうとしています。
それは、生活様式であったり、身の回りの物であったり、行事や風習、立ち居振る舞い、そして話し方や言葉など多岐にわたります。
これらの「忘れられゆくもの」中から「失いたくないモノ」と「失いたくないコト」の二つを取り出し、それぞれを現在の暮らしの中で生かす方法を考えてみました。
「失いたくないモノ」
それはかつて身の回りで使われていた数々の生活道具です。そこには日本の市井の手仕事のすばらしさと共に、時代を経た美しさがあります。これらの品々に少し手を加えて「和の一輪挿し」をつくる活動を始めています。
「和の一輪挿し」として新しい使命を得た道具類は、小は「おしぼり置き」や「籃胎のザル」から大は「水車の板」など様々ですが、これらの古いモノに「一輪挿し」という新しい役割を与えたことで、再び、道具としての花を咲かせ、これからの時代を生きる「再生」につながることを願っております。
「失いたくないコト」
それは美しい日本語の話し方です。「言葉は時代によって変化するもの」とは言いますが、今、私たちが口にしている日本語は「訛っています」。
名刺はメーシと発音し、警察官はケーサツカン 英会話はエーカイワです。この風潮に対して、NHKは「日本語から「い」が消えている」という番組を放映しましたが、この流れは止まりません。そこで、この流れに掉さすものが「吟詠」ではないかと思います。
吟詠は、母音の発音だけでなく、アクセントや鼻濁音といった美しい日本語発声の基本技術の習得がもとめられます。それだけではありません。その過程で学ぶ、口の形や、発声や、腹式呼吸などへの努力の継続も求められます。そしてこれは、高齢化社会の中で生きる時に必要な、姿勢を正し、嚥下性肺炎を防ぎ、お顔の筋肉まで鍛える行動となる考えを、更に拡大させてゆこうと考えています。