「籃胎漆器と笹」
籃胎の「籃」は竹や籐で編み上げたザルや籠を意味します。それを中心(胎)に、周囲を漆で塗ったものが籃胎漆器です。
私たちの生活の中で、使われていた竹のザルや籠の欠点はやや水に弱いということ。ならば、そのザルに漆を塗れば、その欠点を補えるという発想から生まれたのがこの籃胎漆器です。その歴史は古く、およそ3000年前の朝鮮半島の楽浪古墳群や、日本の青森県八戸市の是川遺跡でも発見されています。
しかし、このような長い歴史を持つ籃胎漆器にも強敵が現れました。プラスチック製のザルの登場です。水にも強く、そこそこの強度もあって、しかも安価。籃胎漆器は私たちの日常から消えてゆく運命となりました。
しかし、籃胎のザルには独特の漆の輝きがあります。そこで籃胎漆器を壁にかけて、更に花入れを掛け、そこに笹の葉を飾ってみました。
笹の葉だけなのに、纏まりをみせるのは、籃胎の竹と笹が呼応しているからかも知れません。