「藁沓(わらぐつ)の木型」
沓(わらぐつ)は雪沓(ゆきぐつ)ともよばれ雪深い地方の必需品でした。
秋が深まる頃、収穫したばかりの稲の藁を使って、それぞれの家で雪沓づくりが始まります。雪沓を編む時に使う「木型」も、もちろん手作りです。
この木型を使って毎年毎年、何代にもわたって藁沓を作りつづけたからでしょうか。時代が染みついたような色合いになり、まさに歴史を語るようです。
この時代を経た、雪沓を編む木型を壁に掛けて、古い伊万里焼の器を置いてみました。器に挿した白い花は、雪ノ下。図らずも 雪つながりとなりました。
人類の一番古い靴は、2008年、アルメニアで発見された5500年前のものとされています。靴全体は皮でつくられていますが、中には藁のような枯れた植物が敷き詰められており、防寒用ではないかと言われています。
極寒の中を歩く人々が、少しでも温かくという思いは、古今東西 おなじなのでしょう。