「夏の主役、簀戸(すど)の再登場」

2022-08-10

 

簀戸は夏障子ともよばれ、夏に障子の代わりに登場しました。葦などの茎をはめ込んだ簀戸は、和紙を張った障子と違って、空気の流れを遮りません。しかもその隙間は、蚊などの虫を通過させないほど狭く作られていますから、現代の「網戸」よりもはるかに機能的で風情がありました。
簀戸に嵌め込む素材は、葦の他に竹を細く削ったヒゴや、萩の枝なども使われ、視線を遮りながらも空気は通すという機能が、夏の日本家屋には不可欠でした。

しかし、現在の家は暖房・冷房の効率化を求めて気密な構造となり、簀戸が登場する場面は激減。
したがって簀戸は古材扱い店や、骨董市で見かけるだけのものとなりました。

写真は小ぶりな簀戸に、竹の花入れを掛けて、簀戸がもつ涼の風情を醸し出してもらいました。

 

Posted by 井村一洲